動画やビデオ会議でのフリーズ、画像の多いページ読み込みでの遅延は非常に気になるものです。その原因は「インターネット回線が閲覧に必要な通信速度を満たしていない」ために起こるのかもしれません。ここでは使用状況ごとに必要な通信速度と、手軽にできるチェック方法についてご紹介していきます。
通信速度は「bps( bit per second )」、1秒間に転送できるbit(ビット)数で表されます。
1Gbps=1000Mbps、1 Mbps=1000 kbps
8 bit=1 Byte (バイト)です。1秒間に1MBのデータを転送したい場合、8Mbpsが必要という計算になります。
よく「上り、下り」と表現されますが、上り速度はアップロードつまり情報をネットに上げるときの速度、下り速度はダウンロードつまり情報を閲覧するときの速度です。多くのシーンで重要なのは下り速度です。
テキスト中心のサイトと4K高画質動画では必要な通信速度が異なります。使用状況ごとにチェックしましょう。
使用状況 | 必要な通信速度の目安 |
---|---|
メール・LINEの送信 サイト閲覧 ZOOMのグループビデオ オンラインゲーム |
1~3Mbps |
youtubeなどの動画視聴 | 5Mbps |
4K高画質動画視聴 | 25Mbps |
上記は快適に使える目安なので、この通信速度を下回っていても通信は可能です。
ただしフリーズや遅滞が生じる可能性は高くなります。
動画視聴に必要な通信速度は解像度によって大きく変わります。Youtube推奨の通信速度は以下のとおりです。
解像度 | 推奨される持続的速度 |
---|---|
SD 360P | 0.7Mbps |
SD 480P | 1.1Mbps |
HD 720P | 2.5Mbps |
HD 1080P | 5Mbps |
4K | 20Mbps |
Netfilixでは以下のとおりです。
解像度など | 推奨される持続的速度 |
---|---|
必要な最低接続速度 | 0.5Mbps |
推奨される接続速度 | 1.5Mbps |
SD | 3.0Mbps |
HD | 5.0Mbps |
UHD(4K) | 25Mbps |
ざっくり言えば高画質視聴なら25Mbps、それ以外の負荷の少ない使い方なら5Mbpsを確保できるとよいことになります。「負荷のかかりそうなオンラインゲームの必要速度が意外に低い?」と感じる方が多いと思いますが、オンラインゲームの場合はping値(応答速度)が重要になります。
スピードチェックサイトを使用すると、簡単に通信速度を知ることができます。
Netfilixが提供するスピードチェックサイト。下り速度を表示します。上り速度を知りたいときは「詳細を表示」をクリックします。
「GO」をクリックすると上り・下り速度を表示します。
「測定開始」をクリックしてスタート。
速度はもちろんオンラインゲーム、動画視聴などの用途ごとに快適かそうでないかを示してくれるので分かりやすいですね。
ChromeやMicrosoft Edgeなどのブラウザが古いままなら、ぜひ更新してみましょう。
ブラウザ右上の「…」と表示されている部分→「ヘルプとフィードバック」→「Microsoft Edge(またはChrome)について」で最新版かどうか確認できます。
パソコンなど端末の中にキャッシュ(一時保存ファイル)が蓄積していて、それが原因で処理速度が遅くなっていることがあります。一度削除してみましょう。
自動削除するよう設定しておくと便利です。同様に履歴の削除・ディスククリーンアップ・デフラグでもCPU負荷を下げることができます。
急に遅くなったと感じる場合は、電源を再び入れると改善されることがあります。常時電源につないでいないモバイルルーター(WiMAXなど)の場合は再起動してみましょう。
セキュリティソフトが原因で遅延が生じる場合があります。いったんソフトを止めて様子を見てみましょう。
複数のセキュリティソフトが競合してスピード低下を招いているケースもあります。
ネットでやりとりするデータ量は年々増え続けています。昔のパソコンではデータ量についていけず遅くなってしまうことも。
CPUやメモリの使用状況が100%に近ければパソコンが原因かもしれません。タスクバー(下の帯状の部分)の何もないところを右クリックすると表示される「タスクマネージャー」で確認してみましょう。
最近はWi-fiなど無線LANが主流ですが、ルーターによって規格が違います。以下の表では下に進むほど最新規格になりますが、昔のルーターだと通信速度が低いことがわかりますね。
回線が高速であっても、ルーターの通信速度が低いとそこが上限になってしまいます。1Gbpsの回線でも11bルーターだと11Mbpsに低下するといった具合です。
規格名 | 最大通信速度 | 周波数 |
---|---|---|
IEEE802.11 | 2 Mbps | 2.4 GHz |
IEEE802.11b | 11 Mbps | 2.4 GHz |
IEEE802.11a | 54 Mbps | 5 GHz |
IEEE802.11g | 54 Mbps | 2.4 GHz |
IEEE802.11n | 600 Mbps | 2.4 GHz / 5 GHz |
IEEE802.11ac | 6900 Mbps | 5 GHz |
IEEE802.11ax | 9600 Mbps | 2.4 GHz / 5 GHz |
とくに古いルーターは交換を検討するとよいでしょう。その場合、パソコンやスマホなどの端末と適合する周波数のものを選びましょう。
無線よりも有線のほうが早いので、ケーブルに切り替えるのもひとつの方法です。ケーブルにもやはり規格があります。以下の表では下に進むほど最新型です。
種類 | 通信速度 |
---|---|
CAT5 | 100 Mbps |
CAT5e | 1 Gbps |
CAT6 | 1 Gbps |
CAT7 | 10 Gbps |
上記で解決しない場合は、回線およびプロバイダーの見直しが必要な場合があります。
現在主に使われているインターネット回線は大きく分けてADSL回線、光回線、CATV回線、無線の4種類です。遅いといわれるADSL回線でも、ベストエフォート(最大値)で下り50Mbpsを謳っています。
「うちは下り5Mbpsあればいいから、ADSLで事足りるのでは?」と思う方もいらっしゃるでしょう。しかし50Mbpsはあくまで理想値、実際にこの速度が出ることはまずありません。実測すると5Mbpsを下回ることもあり、快適にインターネットを使いたい方には不向きです。
主流は光回線ですが、その中でもフレッツ光、auひかり、NURO光などさまざまな種類に分かれます。中でもおすすめなのはNURO光です。一般的に光回線は1Gbpsとするものが多い中で、NURO光は2Gbpsと倍のスピード。2020年には脅威の「上り下り20Gbps」サービス開始が発表されています。
エリアは順次拡大中なので、乗り換えを検討している方はNURO光のサイトで確認してみましょう。
同じ光回線でも、契約できるプロバイダーは複数あります。プロバイダー乗り換えで注目しておきたいのが 「IPv4 over IPv6」サービスを提供しているかどうかという点です。
IPv4はPPPoEという従来の通信ルールに対応し、回線が1Gbpsであっても200Mbps以上のスピードが出せませんでした 。そこに対してIPv6はIPoEという新通信ルールに対応し、帯域制限は100 Gbps(PPPoEの500倍)です。ただし最新技術のためまだネット上にはPPPoE形式の情報が多く、IPv6対応のプランでもその真価が発揮できません。
IPv4 over IPv6」ならPPPoE形式をIPoE形式に変換してくれるので、スピードアップが狙えます。
IPv4 over IPv6サービスを提供しているプロバイダー例としては、以下のものがあります。
また、最近では光回線とプロバイダーが一体化した「光コラボ」が普及しています。IPv4 over IPv6サービスを提供している例としては以下のものがあります。
IPv4 over IPv6サービスに乗り換える場合、ルータやデバイスが対応しているかも確認しておきましょう。